心に残るクリスマスのお話「名犬バリー」
小学二年生の時にクラスの文庫にあった一冊の絵本
「名犬バリー」。この本がどうしても自分の絵本にしたくて
母に懇願した。
そして当時担任だった長沼先生に発注してもらったが、
アメリカから取り寄せないと手に入らないと・・・
どういう経路でアメリカから取り寄せてくれたかは不明だが、
この絵本は無事に良道少年の手元に届いた。
これはスイスのお話です。
アルプスの山を越えようとする人たちがいました。
セントバーナードという牧師さんが、遭難した人を助けるために犬を訓練していました。
「セント・バーナード」という犬の名前の由来は、スイスとイタリアを結ぶグラン・サン・ベルナール峠にあった修道院サン・ベルナール
(英語名 セント・バーナード)からきているという説もあります。
土砂降りの日も、はげしい吹雪の日も、犬たちはアルプスの山で遭難した旅人を助けました。
あたり一面の雪の中から、バリーは倒れている人を見つけては、自分の体温で遭難した人を温め、雪の中で倒れている人を運びました。
バリーはこのように40人の命を救ってきたのです。
ある日、二人の旅人がアルプスの雪山を越えようとしていました。
二人とも凍えきって、遭難しかかっていました。
一人の男が、もう一人の言うことを聞かないでウイスキーを飲み始めました。
「おい、こんなところでウイスキーなんか飲んで、眠くなったらどうするんだい?この山の中で死んでしまうぞ。」
「大丈夫さ。俺はウイスキーを飲んで、体を温めているのさ。元気が出たら、また歩き出せばいいのさ。」
ウイスキーを飲んでしまった男は、友人が言ったとおり眠くなり、吹雪の中、眠り込んでしまいました。
「これは大変なことになったぞ。誰か助けを呼ばなくちゃ!」
友人は、どこかに山小屋はないかと、よろよろ歩いて行きました。
なんとか避難所にたどり着いた友人は助けを求めました。
「助けて下さい!僕の友達が雪道で動けなくなってしまったのです。」
すぐにバリーが呼ばれました。
バリーは吹雪の中、倒れている人を一生懸命探して歩き回りました。
ようやく男が倒れているのを見つけ、バリーは助けようと近づいていきました。
ところがその男は厳しい寒さと、ウイスキーを飲んでいたために頭がもうろうとしていたのです。
大型犬であるバリーのことを見た男は、何か恐ろしい獣か、オオカミだと思ってしまい、
持っていたナイフをバリーの首に必死になって刺したのです。
バリーの首からは血が流れ、真っ白い雪の上が真っ赤に染まりました。
バリーは、「僕はオオカミじゃない、助けに来たんだよ。救助犬なんだよ!」
と言うように「ワンワン!」とほえ続け、伝えようとしましたがダメでした。
仕方なく、バリーは首から血を流したまま、避難所に帰りました。
大きな傷を負いながら必死にほえて、人が倒れていることを知らせました。
倒れていた人は無事、救助され、バリーは力尽きてばったり倒れてしまいました。
記念碑がパリ近郊の世界最初の動物霊園ともいわれるシムティエール・デ・シヤンに建てられています。
記念碑にはこのように書かれています。
「バリーは40人の命を救った。そして41人目の人に殺されてしまった。」
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※「名犬バリー」のお話は現在は「ベッドタイムストーリーズ」(福音社)に掲載
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